柳原病院では水曜、金曜午前に月3回「じん肺・アスベスト外来」を行っています。
診療には芝病院の藤井正實医師と協力してあたります。
スタッフには事務、保健師もチームとなって診療・その後のケアなどを行います。
柳原病院では水曜、金曜午前に月3回「じん肺・アスベスト外来」を行っています。
診療には芝病院の藤井正實医師と協力してあたります。
スタッフには事務、保健師もチームとなって診療・その後のケアなどを行います。
* 予約外来の変更をご希望される方は、月~金の午後(2時~5時)にご連絡ください。
世界的には紀元前から、日本では江戸時代頃から使われていますが、使用量が1960年代から急激に増えて70年代・80年代には年間25~35万tを輸入していました。 その用途は多岐にわたりますが、9割は建築材料になります。ほかにも自動車のブレーキの摩擦材や電線の被覆材や断熱材と3千種以上あり、多種多様です。それは、摩擦に強くて摩耗しづらく、熱や酸にも強く、電気を通さず、加工もし易い上に天然資源なので安価であることが理由です。 75年までは、学校・ビル・工場などの鉄骨に耐火被覆としてアスベストの吹き付けが義務付けられていましたので、すべてのビルにアスベストが存在します。大きなものは気道にひっかかり肺まで到達しませんが、小さなものは肺に到達してアスベスト被害の原因となります。
6種類ありますが、日本では「蛇紋石」系の白石綿が90%以上を占め、その他「角閃石」系の茶石綿と青石綿の3種類が主に使用されていました。
青石綿は1970年代には発がん性を指摘されていて、メーカーが自主的に使用中止するところも出始めました。
茶石綿についても発がん性を指摘する研究報告が相次いで発表されたために、86年にILOで原則禁止を盛り込んだ条約が採択されました。(日本は未批准)。
1986…… 国際労働機関(ILO)で青石綿の原則禁止を盛り込んだ石綿条約を採択。
1989…… 国際保健機関(WHO)で青石綿と茶石綿の使用禁止。
1992…… 日本石綿協会が93年6月から使用禁止を決定した。
1995…… 日本政府の青石綿と茶石綿の使用禁止。
2004.10月…… 日本政府による石綿の原則使用禁止。
アスベストによる被害は大きく分けると以下になります。
暴露から20年前後から発生。肺がんの発生率はアスベスト暴露で |
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アスベスト暴露以外ではほとんど発生しない。 |
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暴露後20年以内で最も多い。胸膜に炎症が起き、 |
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胸膜炎後に起こる。肺と胸膜が広範囲に癒着し、呼吸困難になる。 |
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短期間の暴露でも発生する。家族も間接暴露で発生することも。 |
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じん肺の一種で、進行性。肺組織が硬い繊維に置き換わり、 |
は吸う量が多いほど発症しやすくなりますが、極少量でも発症する可能性があります。悪性中皮腫も同様です。 作業衣等を介して家族や工場近辺の住民も危険性が伴います。 アスベストを吸ったことによる特徴的な変化として、胸膜肥厚斑が発生します。肺を覆う胸膜が部分的に厚くなり、胸部レントゲン撮影とCT画像から診断します。
短期間・少量の暴露でも発生することがわかっています。職業性肺がんの検討からは、80%以上の方に存在しますが、3分の1程度しか胸部レントゲン写真では診断できません。
は労災認定の重要な証拠ともなりえます。たとえば肺がんが見つかり、合併して胸膜肥厚斑があればアスベスト暴露が原因と特定できます。
ところが、胸膜肥厚斑は見逃されやすく、職業性の肺疾患に詳しい医師でないと診断が難しいと思われます。そのために労災認定されずに埋もれてしまい、高額の医療費を自己負担しているケースが少なくないと思います。
を取り扱った後20~40年後に健康被害が発生してくるので、1970年代から80年代の輸入量が多かった時期に使用した方々の健康被害が増加してくることが考えられます。アスベストを扱う職業に就いたことがあり、息切れなどの症状がある場合は受診することをお勧めします。
肺がんの予後はアスベストによる職業性肺がんを含めて、一般的にごく早期をのぞいて悪いのが現状です。悪性中皮腫も同様です。自覚症状に乏しく、症状が出現して受診したときには進行していることも多いのです。
● 作業現場での規則を守らせること。アスベスト含有製品の使用を避けること。
● 吸塵器をきちんと使用すること。
● 防塵マスクは専用のもの、保護衣として全身を覆う使い捨てのものを使うこと。
● 作業衣は軽く洗い、濡れた状態にしてアスベスト等の粉塵の飛散を防ぎ、
作業場から持ち出さないこと。
● 喫煙は発ガンの危険を相乗的に高めるので禁煙すること。
● 早期発見・経過観察のためにも年1回の健康診断を受診すること。
などが必要です。
芝診療所
診療科:じん肺・アスベスト外来
出身大学:産業医科大
卒業年:1989年
資格:日本医師会認定産業医