柳原病院
脱原発宣言
大量の放射性物質を拡散させた福島第一原発の事故は、多くの人々のかけがえのない人生を傷つけ、生活や仕事、地域のつながりを奪いました。
福島の原発被災地域から避難を余儀なくされた人々は、ふるさとに住み続ける自由さえも失い、今なお、仮設住宅や避難先で不自由な暮らしを強いられながら、懸命に生活されています。
事故は現在も進行中で、放射線の影響や将来にわたる生活・健康の不安を抱えながら生きることを余儀なくされています。
広範囲に拡散した放射性物質は、局所的な被害をもたらすにとどまらず、地球規模での自然環境・生態系の破壊をもたらすものです。私たちが、今回の原発事故から学んだことは、次世代から預かっているこの「地球」と人間も含めたすべての「いのち」を脅かす原発の存続ではありません。
いまだに事故収束の目途すらたっていない状況は、原発事故ひいては原子力そのものが人類にとっていかに制御不能であるかを証明しています。「安全神話」の虚構が、大きすぎる代償を払って暴露されたいま、とりわけ地震大国であるこの日本に大量の原発を存続させる理由はどこにもありません。
日本は、世界で唯一の被爆国です。原子力・核がもたらす悲劇と苦しみを知る私たちは、しかし、今回の原発事故でふたたび多くの被爆者を出してしまいました。もうこれ以上、同じ過ちを繰り返してはなりません。
私たちは、福島原発事故を人類最後の原子力災害とするために、そして、医療・介護従事者として、かけがえのない「いのち」を守る立場から、核兵器を含む一切の原子力政策に反対するとともに、原子力発電に依らない自然エネルギーによる社会の実現をめざし、その一点で、広範な個人・団体と連帯しその運動を進めていくことを決意し、ここに脱原発を宣言します。
2012 年 4 月 26 日
医療法人財団健和会
柳原病院